仕事をしていると、誰でも一度や二度は「しまった!」と思うミスをしてしまうものです。でも本当に大事なのは、ミスをしたあとにどう動くかではないでしょうか。今回は、そんな場面で背中を押してくれる故事成語「過ちては改むるに憚ること勿れ」をご紹介します。
「過ちては改むるに憚ること勿れ」の意味
読み方は「あやまちてはあらたむるにはばかることなかれ」です。意味は「過ちに気づいたら、ためらわずにすぐ改めなさい」ということです。
「憚る(はばかる)」は「遠慮する・ためらう」、「勿れ(なかれ)」は「〜してはいけない」という意味です。つまり、「体面やプライドを気にして、間違いを直すのをためらってはいけない」という教えなのです。
- 過ち:間違い、失敗
- 改むる:直す、正す
- 憚ること勿れ:ためらってはいけない
故事成語ができた経緯・歴史
この言葉は、今から約2500年前の中国・春秋時代に活躍した思想家、孔子(こうし)の言葉です。孔子と弟子たちのやりとりをまとめた書物『論語』に収められています。
孔子は「君子(くんし)」、つまり立派な人物になるための心がまえを弟子たちに説きました。その中で、「誠実さを大切にすること」「自分より劣る者とばかり付き合わないこと」と並べて、「過ちを犯したらすぐに改めること」を挙げています。
孔子はほかにも『論語』衛霊公篇で「過ちて改めざる、是を過ちと謂う(間違えて改めないことこそが、本当の過ちだ)」とも語っています。人間はミスをするもの。だからこそ、ミスそのものよりも「直さないこと」を戒めたのですね。この考え方は日本にも伝わり、武士や商人の心得として長く大切にされてきました。
ビジネスシーンでの使い方(例文3つ)
ビジネスでは、ミスの報告や方針転換の場面でよく使えます。具体的な例文を見てみましょう。
- 例文1:「見積もりの計算ミスに気づきました。過ちては改むるに憚ること勿れ、すぐにお客様へ訂正版をお送りします。」
- 例文2:「新しい販売戦略は思ったほど効果が出ていない。過ちては改むるに憚ること勿れだ。早めに計画を見直そう。」
- 例文3:「部下がミスを報告してくれたら、まずは褒めてあげてほしい。過ちては改むるに憚ること勿れという風土をつくるのが、管理職の役目だよ。」
特に経営の世界では、「一度決めたことだから」と赤字事業や効果の薄い施策を続けてしまうケースが少なくありません。早めに気づいて軌道修正できる会社ほど、結果的に強くなっていきます。
原文の出典(書名・原文・読み下し文)
- 書名:『論語』学而篇(がくじへん)※子罕篇(しかんへん)にも同じ一節があります
- 原文:子曰、君子不重則不威。学則不固。主忠信、無友不如己者。過則勿憚改。
- 読み下し文:子曰く、君子重からざれば則ち威あらず。学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ。過ちては則ち改むるに憚ること勿れ。
現代語に訳すと、「立派な人は、どっしりしていなければ威厳がない。学べば考えが頑固にならない。誠実さを第一にし、自分より劣る者を友としてはいけない。過ちがあれば、ためらわずに改めなさい」となります。
まとめ
「過ちては改むるに憚ること勿れ」は、ミスを恥じるよりも、素直に認めてすぐに直すことの大切さを教えてくれる言葉です。失敗を責めるより、改める勇気を認め合う職場づくりから始めてみませんか。

コメント